○士別市の自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例

令和6年11月29日

条例第25号

(目的)

第1条 この条例は、再生可能エネルギー発電施設の設置、維持管理及び廃止に至る再生可能エネルギー発電事業の全般について自然環境、景観及び生活環境を保全し、又は災害の発生を防止する方法により適切に実施するよう必要な事項を定めることにより、地域と共生する再生可能エネルギー発電事業の普及を図り、もって再生可能エネルギー発電事業と地域との調和及び市民の安全で安心な生活の確保を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 再生可能エネルギー 化石燃料(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される燃料をいう。)及び原子力以外のエネルギーであって、規則で定めるものをいう。

(2) 再生可能エネルギー発電施設 再生可能エネルギーを電気に変換する施設及びその附属設備(送電に係る電柱等を除く。)であって、規則で定めるものをいう。ただし、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物、事業者の事業所等と併設されるもので、主に自己消費を目的とするものを除く。

(3) 再生可能エネルギー発電事業 再生可能エネルギー発電施設の設置により、電気を得る事業(当該再生可能エネルギー発電により発電した電気の全てを自ら使用するものを除く。)をいう。

(4) 事業区域 再生可能エネルギー発電事業の用に供する土地の区域をいう。

(5) 事業者 再生可能エネルギー発電事業を実施する者、実施しようとする者及び規則で定めるものをいう。

(6) 近隣住民等 再生可能エネルギー発電事業の実施に伴い生活環境等に影響を受けるおそれがある市民等であって、規則で定めるものをいう。

(市の責務)

第3条 市は、第1条に規定する目的を達成するため、この条例の適正かつ円滑な運用に努め、そのために必要な措置を講じなければならない。

(事業者の責務)

第4条 事業者は、関係法令及びこの条例の規定を遵守し、本市の自然環境、景観及び生活環境(以下「自然環境等」という。)を保全し、又は災害の発生を防止するために必要な措置を講じなければならない。

2 事業者は、再生可能エネルギー発電事業の実施に当たり、近隣住民等に対して十分な情報提供及び説明を行い、良好な関係を保つよう努めなければならない。

3 事業者は、再生可能エネルギー発電事業を継続している間又は終了する場合において発生した不要な設備について、関係法令に基づき適正に処理するとともに、再生可能エネルギー発電事業終了後は、速やかに原状回復に努めなければならない。

4 事業者は、近隣住民等から再生可能エネルギー発電事業に関する苦情等があった場合は、近隣住民等の理解が得られるよう、誠実な対応に努めなければならない。

(設置禁止区域)

第5条 市長は、本市の自然環境等を保全し、又は災害の発生を防止するために、次に掲げる区域を再生可能エネルギー発電施設の設置を禁止すべき区域(以下「設置禁止区域」という。)に指定する。

(1) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第7条第1項の規定により指定された土砂災害警戒区域及び同法第9条第1項の規定により指定された土砂災害特別警戒区域

(2) 砂防法(明治30年法律第29号)第2条の規定により指定された区域

(3) 森林法(昭和26年法律第249号)第25条第1項の規定により指定された保安林の区域

(4) 農地法(昭和27年法律第229号)第4条第6項第1号の規定により指定された農地の区域

(5) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第5条の規定により指定された都市計画区域

(6) 農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)第8条第2項第1号の規定により定められた農用地区域

(7) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める区域

2 事業者は、前項の規定により指定した区域を事業区域に含めてはならない。ただし、事業区域及びその周辺区域の状況等により自然環境等の保全に明らかに支障がないと市長が判断した場合は、この限りでない。

(事前協議)

第6条 事業者は、第8条の規定による届出にあたっては、あらかじめ当該再生可能エネルギー発電事業の実施に関する内容等の事項について、市長と協議しなければならない。

2 市長は、前項の規定による協議があったときは、事業者に対し、必要な指導又は助言をすることができる。

(説明会の開催)

第7条 前条の事前協議を行った事業者は、次条の規定による届出にあたっては、当該事業区域の近隣住民等の理解を得るため、あらかじめ当該再生可能エネルギー発電事業に関する説明会を開催しなければならない。

2 事業者は、前項の説明会を開催するときは、当該説明会を開催する日の30日前までにその旨を市長及び近隣住民等に通知するとともに、市民に広く周知しなければならない。

3 事業者は、説明会を開催したときは、遅滞なく、その結果を市長に報告しなければならない。

4 事業者は、説明会において近隣住民等との協議により必要が生じたときは、説明会の複数回開催その他の地域との共生を図るための措置を講ずるよう努めるものとする。

(届出)

第8条 事業者は、市内において再生可能エネルギー発電事業を実施しようとするときは、当該事業に着手しようとする日の90日前までに、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した届出書に、必要な図面等を添付して、市長に届け出なければならない。

(1) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

(2) 再生可能エネルギーの種類

(3) 再生可能エネルギー発電施設の設置場所

(4) 事業区域の面積

(5) 再生可能エネルギー発電施設の出力

(6) 再生可能エネルギー発電事業の内容及び実施予定期間

(7) その他規則で定める事項

(届出内容の変更)

第9条 前条の規定により届出をした者は、当該届出に係る同条各号に掲げる事項を変更しようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ、その旨を市長に届け出なければならない。ただし、規則で定める軽微な変更については、この限りでない。

(工事の届出)

第10条 事業者は、再生可能エネルギー発電施設の設置工事に着手したとき及び当該工事を完了したときは、規則で定めるところにより、遅滞なく、その旨を市長に届け出なければならない。

(標識の設置)

第11条 事業者は、再生可能エネルギー発電事業を行っている期間中、規則で定めるところにより、事業区域内の公衆の見やすい場所に、氏名又は名称その他の規則で定める事項を記載した標識を設置しなければならない。

2 前項に規定にかかわらず、インターネットの利用により公衆の閲覧に供することによって前項の標識の設置に代えることができる。

(維持管理)

第12条 事業者は、次に掲げる維持管理に関する基準に従って再生可能エネルギー発電施設及び事業区域(以下「再生可能エネルギー発電施設等」という。)を安全かつ良好な状態で維持するよう管理しなければならない。

(1) 再生可能エネルギー発電施設等は、土砂災害等の防止及び周辺地域の環境の保全に支障が生じないよう、常時安全かつ良好な状態が維持されていること。

(2) 再生可能エネルギー発電施設等の周辺において土砂災害等が発生するおそれがある場合は、再生可能エネルギー発電施設の損壊の防止に必要な措置及び周辺地域の環境の保全上の支障が生じないために必要な措置が速やかに講じられること。

(3) 土砂災害等により再生可能エネルギー発電施設の損壊が発生し、又は周辺地域の環境の保全上の支障が生じた場合は、速やかに当該再生可能エネルギー発電施設の復旧又は当該支障の除去のために必要な措置が講じられること。

2 事業者は、規則で定めるところにより、再生可能エネルギー発電施設等の維持管理をするための計画を作成し、当該計画に従い、当該再生可能エネルギー発電施設等の維持管理を行わなければならない。

3 事業者は、前項の規定により計画を作成したときは、規則で定めるところにより、これを公表しなければならない。

4 事業者は、規則で定めるところにより、第2項の規定により作成した計画及び同項の規定により行った維持管理の結果を市長に提出しなければならない。

5 前3項の規定は、再生可能エネルギー発電施設等の維持管理をするための計画を変更した場合に準用する。

6 事業者は、事故又は土砂災害等により、再生可能エネルギー発電施設の損壊が発生し、又は周辺地域の環境の保全上の支障が生じたときは、速やかに当該再生可能エネルギー発電施設の復旧又は当該支障の除去のために必要な措置を講じるとともに、規則で定めるところにより、その旨を市長に報告しなければならない。

(地位の承継等)

第13条 事業者から事業の譲渡、相続、売買、合併又は分割によりその地位を承継した者は、地位を承継した日から起算して30日以内に、規則で定めるところにより、その旨を市長に届け出なければならない。

2 地位を承継した者は、当該承継に係る再生可能エネルギー発電事業について付された一切の条件を遵守するものとする。

3 市長は、第1項の規定による届出があったときは、その旨を公表するものとする。

(廃止)

第14条 事業者は、再生可能エネルギー発電事業を廃止しようとするときは、廃止しようとする日の30日前までに、規則で定めるところにより、その旨を市長に届け出なければならない。

2 事業者は、前項で届け出た再生可能エネルギー発電事業を廃止するときは、当該事業で発生した設備等の解体、撤去、廃棄その他必要な措置を速やかに講じなければならない。

(指導及び助言)

第15条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、事業者に対し、指導及び助言を行うことができる。

(報告の徴収)

第16条 市長は、この条例の施行に関し必要な限度において、事業者に対し、再生可能エネルギー発電事業に関する報告又は資料の提出を求めることができる。

(立入検査)

第17条 市長は、この条例の施行に関し必要な限度において、市の職員に事業者の事務所、事業区域その他その事業を行う場所に立ち入り、再生可能エネルギー発電施設、帳簿、書類その他の物件を検査(以下「立入検査」という。)させ、若しくはこれに類する方法により検査させ(以下「立入検査等」という。)、又は関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により立入検査を行う市の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 第1項の規定による立入検査等の権限は、これを犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(勧告)

第18条 市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、事業者に対し、期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

(1) 第5条の規定に違反して、設置禁止区域を事業区域としていたとき。

(2) 事業者が第6条第1項の規定による協議(以下この号において「協議」という。)若しくは第8条の規定による届出(以下この号及び次号において「届出」という。)を行わず、又は虚偽の協議若しくは届出をしたとき。

(3) 事業者が正当な理由なく届出をする前に第10条に規定する設置工事に着手したとき。

(4) 事業者が第14条第2項の規定による再生可能エネルギー発電事業の廃止後において行う措置を講じなかったとき。

(5) 事業者が第15条の規定による指導に正当な理由なく従わなかったとき。

(6) 事業者が第16条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、前条第1項の規定による立入検査等を拒み、妨げ若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。

(7) 事業者が適正な維持管理を怠り、事業区域外に被害を与えたとき又は被害を与えるおそれがあるとき。

(8) 再生可能エネルギー発電事業が、自然環境等に重大な影響を及ぼすおそれがあると認めるとき。

(措置命令)

第19条 市長は、前条の規定による勧告を受けた事業者が正当な理由なく当該勧告に係る措置を講じなかったときは、当該事業者に対し、当該勧告に係る措置を講ずべきことを命ずることができる。

(違反事実の公表等)

第20条 市長は、第18条の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由なく当該勧告に従わないときは、当該事業者の氏名及び住所並びに当該勧告の内容を公表することができる。

2 市長は、前項の規定により公表しようとするときは、あらかじめ当該事業者に対し、その理由を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。

(委任)

第21条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和7年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の規定は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以後に再生可能エネルギー発電施設の設置に係る工事に着手する事業について適用する。

3 この条例の施行の日から90日を経過する日までの間に再生可能エネルギー発電事業に着手する事業者に対するこの条例の第8条の規定の適用については、同条中「当該事業に着手しようとする日の90日前までに」とあるのは、「速やかに」とする。

士別市の自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例

令和6年11月29日 条例第25号

(令和7年4月1日施行)