○士別市受動喫煙防止条例

平成31年2月20日

条例第9号

たばこの煙は、たばこを吸う人だけでなく吸わない周囲の人の健康にも影響を及ぼし、さまざまな疾病の原因となることが明らかとなっており、国においては健康増進法(平成14年法律第103号)に受動喫煙の防止を疾病予防の重要な課題として位置づけるとともに、16年6月には「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(平成17年2月発効)を批准し、国際的な受動喫煙防止の取り組みに参画しています。

士別市においても、これまで喫煙や受動喫煙が及ぼす健康への影響について、士別市健康長寿推進計画に基づき普及啓発などの取り組みを進めていますが、よりいっそうの対策が求められています。

また、士別市は夏の冷涼でさわやかな気候や冬の雪と寒さなどの豊かな自然環境のもと、合宿・自動車等の試験研究・観光・レジャーなどを活かした交流人口を増やす取り組みを進めており、市民はもとより本市を訪れるすべての人が受動喫煙を被ることなく、安全・安心に日常生活を送ることができる環境づくりが必要です。

そこで、市・市民・事業者・教育機関・関係団体が協働して受動喫煙の防止対策に取り組むことを決意し、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、健康への悪影響が明らかである受動喫煙を防止するため、市の責務と市民・事業者・教育機関・関係団体の役割を明らかにするとともに、禁煙環境の整備や受動喫煙の防止に必要な措置をとることで、受動喫煙による健康への悪影響を未然に防止することを目的とします。

(定義)

第2条 この条例における用語を次のとおり定義します。

(1) たばこ たばこ事業法(昭和59年法律第68号)第2条第3号に掲げる製造たばこであって、同号に規定する喫煙用に供されるものや同法第38条第2項に規定する製造たばこ代用品をいいます。

(2) 喫煙 人が吸入するため、たばこを燃焼させたり加熱することにより煙(蒸気を含みます。以下同じ。)を発生させることをいいます。

(3) 受動喫煙 他人の喫煙によりたばこから発生した煙を吸わされることをいいます。

(4) 第1種施設 多くの人が利用する施設(車両その他の移動施設を含みます。以下同じ。)のうち、次に掲げる施設をいいます。

 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条に規定する児童福祉施設と学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校

 病院や診療所(歯科診療所を含みます。)

 国や地方公共団体の庁舎(行政機関がその事務を処理するために使用する施設に限ります。)

(5) 第2種施設 多くの人が利用する施設のうち、第1種施設以外の施設をいいます。

(6) 喫煙可能区域 施設内において喫煙できる区域をいいます。

(7) 喫煙禁止区域 施設内のうち喫煙可能区域を除く区域をいいます。

(8) 市民 住民(士別市内に住所を有する人をいいます。)をはじめ、市内で働く人、市内で学ぶ人、市内で様々な社会的活動を行う人をいいます。

(9) 教育機関 保育所・幼稚園・小学校・中学校・高等学校その他これらに類する学校や児童福祉施設をいいます。

(10) 関係団体 市内で保健・医療・福祉などの健康づくりに携わる団体や自治会などの地域を基盤に形成された団体をいいます。

(11) 協働団体 市・事業者・教育機関・関係団体をいいます。

(12) 禁煙 施設内の全部を喫煙禁止区域とすることをいいます。

(13) 分煙 施設内を喫煙可能区域と喫煙禁止区域とに分割することをいいます。

(14) 特定屋外喫煙場所 第1種施設の屋外の場所の一部のうち、その施設の施設管理者によって区画され、国が定める受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所をいいます。

(市の責務)

第3条 市は、受動喫煙による市民の健康への悪影響を未然に防止するために必要な環境の整備を推進します。

2 市は、市民や他の協働団体が受動喫煙防止の理解を深め、自主的に受動喫煙の防止に関する取り組みを進められるよう、情報の提供や普及啓発その他必要な支援を行います。

3 市は、受動喫煙の防止に関する施策について、市民や他の協働団体とともに取り組みます。

4 市は、自らが設置・管理する施設について、受動喫煙による利用者の健康への悪影響が生じないよう禁煙に努めます。ただし、宿泊施設や入所施設について利用者の利便性を考慮し、必要と認められるときは、この限りではありません。

5 市は、前条第4号ウに規定する施設について、特定屋外喫煙場所を除き、敷地内での喫煙を禁止します。

(市民の役割)

第4条 市民は、喫煙や受動喫煙が及ぼす健康への悪影響について理解を深めるとともに、他の人に受動喫煙をさせることがないよう努めます。

2 市民は、協働団体が実施する受動喫煙の防止に関する措置や施策に協力するよう努めます。

(事業者の役割)

第5条 事業者は、事業活動を行うにあたり、従業員が受動喫煙による健康への悪影響を受けないよう職場環境の整備に努めます。

2 事業者は、他の協働団体が実施する受動喫煙の防止に関する措置や施策に協力するよう努めます。

(教育機関の役割)

第6条 教育機関は、幼児・児童・生徒・学生(以下「子どもたち」といいます。)に対し、喫煙や受動喫煙が及ぼす健康への悪影響に関する教育を行います。

2 教育機関は、他の協働団体が実施する受動喫煙の防止に関する措置や施策に協力するよう努めます。

(関係団体の役割)

第7条 関係団体は、喫煙や受動喫煙が及ぼす健康への悪影響について市民に対し情報提供や普及啓発に努めるとともに、他の協働団体が実施する措置や施策に協力するよう努めます。

(受動喫煙防止対策)

第8条 第1種施設の施設管理者は、受動喫煙の防止のためその管理する施設について禁煙に取り組まなければなりません。

2 前項の施設管理者は、敷地内(特定屋外喫煙場所を除きます。)に灰皿等(灰皿、吸殻入れその他喫煙の用に供する器具や設備をいいます。)を設置してはなりません。

3 第1項の施設管理者は、施設を利用しようとする人の目につきやすい場所に、その施設が禁煙である旨を表示します。

4 第2条第4号ア・イに規定する施設の施設管理者は、特定屋外喫煙場所を設置してはなりません。

5 第2種施設の施設管理者は、受動喫煙の防止のためその管理する施設について、必要に応じて禁煙や分煙に取り組みます。ただし、飲食店営業(設備を設けて客に飲食をさせる営業で食品衛生法(昭和22年法律第233号)第52条第1項の許可を受けて営むものをいいます。)や風俗営業(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条に規定する営業をいいます。)については、この限りではありません。

6 前項の施設管理者は、施設を分煙とした場合においては、喫煙可能区域から喫煙禁止区域にたばこの煙が流入することがないよう、適切な受動喫煙防止措置を図るとともに、喫煙可能区域と喫煙禁止区域を明確に表示します。

(喫煙者への指導)

第9条 施設管理者は、その管理する喫煙禁止区域において現に喫煙を行っている者を発見したときは、その者に対し直ちに喫煙を中止することやその喫煙禁止区域から退出する旨指導するよう努めます。

(20歳未満の者への配慮)

第10条 子どもたちの保護者は、その監督保護下にある20歳未満の者に受動喫煙による健康への悪影響が及ばないよう努めます。

2 施設管理者は、20歳未満の者が喫煙可能区域に立ち入らないよう努めます。

3 喫煙をしようとする者は、教育機関に隣接する道路・公園・広場など特に子どもたちに受動喫煙の被害が及ぶおそれのある場所では喫煙しないよう努めます。

(歩行喫煙等の禁止)

第11条 喫煙をしようとする者は、市内の道路・公園・広場・河川敷その他屋外の公共の用に供する場所において、歩行中や自転車に乗車中に喫煙してはなりません。

(委任)

第12条 この条例に定めるもののほか、この条例に関し必要な事項は、市長が別に定めます。

(施行期日)

1 この条例は、平成31年4月1日から施行します。

(他の法令等との関係)

2 受動喫煙の防止について、法令等によりこの条例の規定による措置と同等以上の措置をとるように定めている事項については、その措置に係るこの条例の規定は、適用しません。

士別市受動喫煙防止条例

平成31年2月20日 条例第9号

(平成31年4月1日施行)