○士別市福祉のまちづくり条例

平成17年9月1日

条例第118号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 福祉のまちづくりに関する基本的事項(第7条―第19条)

第3章 公共的施設等に係る措置

第1節 公共的施設の整備(第20条―第22条)

第2節 公共的車両、公共的工作物、住宅及び住環境の整備(第23条―第25条)

第4章 雑則(第26条)

附則

すべての市民が、基本的人権を尊重され、自由に行動し、社会参加のできるやさしいまち士別を実現することは、市民の共通の願いである。

このようなまちを実現するためには、障害のある人もない人も、お年寄りも若者も、また、大人も子どもも、多様な個性を有する一人ひとりが、住み慣れた地域において自らの意思に基づき、自立した生活を送り、かつ、社会参加を果たしていけるよう、市民一人ひとりがお互いに理解し、思いやりの心を持って尊重しあい、相互に支え合っていける社会を構築していく必要がある。

これからの社会がかつて経験したことのない高齢社会となることを考えるとき、私たちは、障害者や高齢者など日常生活や社会活動を行う上で行動上の制限を受ける人々の不自由さを感じとり、これらの人々が自由に生き生きと生活できるまちが、すべての人にとってやさしく住みよいまちづくりにつながるとの認識の下、社会のあらゆる分野で福祉的配慮が行きわたったまちづくりを協働という力によって積極的に推し進めなければならない。

私たち士別市民は、福祉のまちづくりに力強い一歩を踏み出すことが今日課せられた市民の責務であるとの思いを共有するとともに、その使命を深く自覚し、その役割を積極的に果たしつつ、一体となって人にやさしい福祉社会の実現に向けて取組むことを決意し、ここに、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、障害者や高齢者をはじめ、すべての人々がともに安心して快適に暮らすことができ、かつ、自由に社会参加ができるよう、市、事業者及び市民の責務を明らかにし、市の施策の基本的事項を定めることにより、福祉のまちづくりを総合的に推進し、もってすべての人にやさしい豊かな福祉社会の実現に資することを目的とする。

(基本理念)

第2条 すべての市民は、社会を構成する一員として尊重され、等しく社会参加の機会を有するとともに、それぞれの立場で社会に貢献し、さまざまな交流やふれあいの中で、生きがいを持って生活する権利を有する。

2 すべての市民及び事業者は、社会的連帯のもと、建物等における物理的障壁、偏見等の心理的障壁その他の日常生活又は社会生活における障壁の除去に取り組み、障害者、高齢者等が自らの意思で自由に行動し、社会参加できる環境づくりを進めるものとする。

(定義)

第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 障害者、高齢者等 障害者、高齢者、妊産婦及びその他の者で日常生活又は社会生活において行動上の制限を受ける者をいう。

(2) 福祉のまちづくり 障害者、高齢者等が安全かつ円滑に施設を利用することを可能とすることにより、広く社会活動に参加できる機会を促進するとともに、すべての人が社会連帯の理念に基づき相互に交流し支え合う、福祉都市の実現のための環境の整備をいう。

(3) 公共的施設 病院、百貨店、ホテル、飲食店、学校、共同住宅並びに道路及び公園その他の多数の者の利用に供する施設で規則で定めるものをいう。

(4) 公共的車両 一般旅客の用に供する鉄道の車両、自動車等で規則で定めるものをいう。

(5) 公共的工作物 信号機、公衆電話所、バスの停留所、案内標識、現金自動支払所及び自動販売機をいう。

(6) 公共的施設等 公共的施設、公共的車両、公共的工作物及び住宅をいう。

(市の責務)

第4条 市は、基本理念に基づき、市民及び事業者と連携して、福祉のまちづくりに関する施策を策定し、総合的に実施する責務を有する。

2 市は、自ら設置し、又は管理する公共的施設等について、障害者、高齢者等が円滑に利用できるよう、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

3 市は、福祉のまちづくりの推進に当たっては、国、道及び関係機関等との連携に努めるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、市が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力する責務を有する。

2 事業者は、自ら設置し、又は管理する、公共的施設等について、障害者、高齢者等が円滑に利用できるよう、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(市民の責務)

第6条 市民は、自らが福祉のまちづくりの主役であることを認識し、福祉のまちづくりに進んで取り組むとともに、市が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力するものとする。

第2章 福祉のまちづくりに関する基本的事項

(施策の基本方針)

第7条 市は、次の基本方針に基づく福祉のまちづくり施策を計画的かつ総合的に実施するものとする。

(1) 市民が、福祉のまちづくりに関して理解を深め、積極的に行動できるよう、意識の高揚を図ること。

(2) 障害者、高齢者等が自立した生活を送るとともに、自らの意思で自由かつ容易に社会活動に参加できるよう、社会環境づくりを推進すること。

(3) 障害者、高齢者等が自らの意思で自由に行動し、安全かつ快適に社会活動ができるよう、公共的施設等の整備を促進すること。

(総合的な推進)

第8条 市は、障害者、高齢者等が自立した生活を送り、かつ、社会活動が促進されるよう、福祉のまちづくりの推進に当たっては、市民及び事業者との有機的な連携のもとに福祉のまちづくり施策を実施するものとする。

2 市は、市民及び事業者と協働し、一体となって福祉のまちづくりに取り組むため、福祉のまちづくり施策の策定に当たっては、市民及び事業者からの意見を広く取り入れるとともに、必要な推進体制を整備するものとする。

(福祉の心の醸成)

第9条 市は、すべての市民がお互いの人権を尊重し合い、障害者、高齢者等を思いやり助け合う福祉の心及び社会奉仕の精神等の醸成が図られるよう努めるものとする。

(啓発活動、情報提供等)

第10条 市は、市民及び事業者の福祉のまちづくりに関する理解を深め、自主的な活動を促進するため、必要な啓発活動、情報の提供、助言及び指導を行うものとし、啓発活動及び情報の提供に当たっては、障害者、高齢者等の特性に応じた取組みを行うよう努めるものとする。

2 市は、障害者、高齢者等が情報を円滑に利用し、意思表示できるようにするため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(相談支援体制の充実)

第11条 市は、福祉のまちづくりや保健福祉に関する市民の相談に適切に対応することができるよう、必要な相談支援体制の充実に努めるものとする。

(福祉教育の充実)

第12条 市は、障害者、高齢者等に対する理解が深められるよう、福祉教育の充実及び学習機会の提供その他福祉の心の醸成を図るために必要な施策を講ずるものとする。

(交流・ふれあいの促進)

第13条 市は、地域における障害者、高齢者等との交流・ふれあいの機会を提供し、充実を図るよう、必要な施策を講ずるものとする。

(スポーツ活動等)

第14条 市は、障害者、高齢者等がスポーツ、レクリエーション及び文化に関する活動に参加することができるよう、必要な施策を講ずるものとし、障害者、高齢者等は、自主的かつ積極的にこれらの活動に参加するよう努めるものとする。

(ボランティア活動の振興)

第15条 市は、市民及び事業者が障害者、高齢者等の福祉に関するボランティア活動を実践できるよう、必要な施策を講ずるものとする。

2 市は、障害者、高齢者等が自らの状況に応じたボランティア活動を実践できるよう、環境の醸成に必要な施策を講ずるものとする。

(地域福祉活動の推進)

第16条 市は、市民の理解と協力のもと、住民参加による地域福祉活動を推進するよう、必要な施策を講ずるものとする。

(防災対策等の推進)

第17条 市は、防災対策に関して、障害者、高齢者等に配慮した情報の提供、避難のための施設の確保その他必要な施策の推進に努めるものとする。

2 市は、積雪寒冷対策に関して、障害者、高齢者等に配慮した施策の推進に努めるものとする。

(調査研究)

第18条 市は、福祉のまちづくりに関する施策を効果的に推進するため、必要な調査及び研究に努めるものとする。

(保健福祉に関するサービスの効果的提供)

第19条 市は、障害者、高齢者等が住み慣れた地域において、安心して自立した生活を営み、社会参加をするために必要な保健福祉に関するサービスが効果的に提供されるよう、必要な施策の推進に努めるものとする。

第3章 公共的施設等に係る措置

第1節 公共的施設の整備

(整備基準)

第20条 市長は、公共的施設の出入口、廊下、階段、昇降機、トイレ、駐車場、歩道及び園路その他の多数の者の利用に供する部分の構造並びに設備に関し、障害者、高齢者等が円滑に利用できるよう、整備するために必要な基準(以下「整備基準」という。)を定めるものとする。

2 前項の整備基準は、市長が別に規則で定める。

(整備基準の遵守等)

第21条 公共的施設の新築(用途を変更して公共的施設とする場合を含む。)若しくは新設又は整備基準に係る部分の増築、改築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替え(以下「新築等」という。)をしようとする者は、整備基準に適合させるよう努めるものとする。

2 この条例の施行の際現に存する公共的施設を所有し、又は管理する者は、当該公共的施設の整備基準への適合又は介助体制の充実その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

3 公共的施設の新築等をしようとする者は、障害者、高齢者等が円滑に移動できるよう、他の公共的施設等との連続性のとれた整備に努めるものとする。

(機能の維持)

第22条 公共的施設を所有し、又は管理する者は、整備基準に適合している部分の機能を維持するよう努めるものとする。

2 市民は、障害者、高齢者等が円滑に利用できるよう整備された公共的施設の利用の妨げとなる行為をしてはならない。

第2節 公共的車両、公共的工作物、住宅及び住環境の整備

(公共的車両の整備等)

第23条 公共的車両を所有し、又は管理する者は、障害者、高齢者等が円滑に利用できるよう、整備その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(公共的工作物の整備)

第24条 公共的工作物を所有し、又は管理する者は、障害者、高齢者等が円滑に利用できるよう、整備に努めるものとする。

(住宅及び住環境の整備)

第25条 住宅を供給する事業者は、障害者、高齢者等が円滑に生活できるよう配慮された住宅及び住環境が整備された住宅団地等の供給に努めるものとする。

2 市民は、その所有する住宅について、居住する者が将来にわたり身体の機能の状況に応じて安全かつ円滑に生活できるよう、整備に努めるものとする。

3 市民は、その居住する地域において、障害者、高齢者等に配慮された住環境の整備及び維持に努めなければならない。

第4章 雑則

(委任)

第26条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成17年9月1日から施行する。

士別市福祉のまちづくり条例

平成17年9月1日 条例第118号

(平成17年9月1日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第1節
沿革情報
平成17年9月1日 条例第118号